1991年のフィリピン・ピナツボ火山大噴火を自分たちの手で起こしたと信じるカルト集団。そんな彼らの黒魔術に導かれ、自らの命を日本車ギャランに捧げた狂信的な母カルメンは、アメリカ人男性との間に生まれた赤ん坊にある運命を授ける。それは、プロのバスケット選手となりNBAで活躍すること。赤ん坊はスーパースターから名を借りて、マイケル・ジョーダン・ウリリと名付けられた……。叔母ロシェル（エイドリアン・ヴェルガラ）のもとで才能あるプレイヤーへと成長したウリリ（イヴ・バガディオン）は、伝説の背番号23を背負い、美しくもビッチな恋人との肉欲とバスケ賭博に明け暮れる青春を過ごしていた。そんななか、アメリカ行きのチャンスが目の前にぶら下がるも、皮肉な運命に導かれ頓挫。失意のウリリは、気付けばカルト集団の叔父ルイス（マーカス・アドロ）や倒錯した大人たちが集うフィリピン・アンダーグラウンドへと足を踏み入れていた。それは彼にとって“真夏の悪夢（Dog Days）”の始まりであった。堕ちてゆくウリリに残されたものは、もはやカルメンの化身となった日本車ギャランΣのみ。果たして彼はバスケの神に祝福された子どもだったのか、それとも……。