樹木美しいパリ郊外の田舎の秋。1912年のある日曜日の朝。画家ラドミラル氏(ルイ・デュクルー)は、パリから訪ねてくる息子のゴンザグ(ミシェル・オーモン)一家を駅に出迎える仕度をしている。ラドミラル氏の面倒を長年にわたってみている家政婦メルセデス(モニーク・ショメット)が今朝も台所の準備に余念がない。ラドミラル氏が門を出ると、白い服の少女ふたりが縄とびをしている。駅に向かったラドミラル氏は、道の途中でゴンザグ一家を迎えることになる。彼は70歳を越えた脚のおとろえをまざまざと感じるのだった。ゴンザグと嫁のマリー・テレーズ(ジュヌヴィエーヴ・ムニック)と、孫娘で体の弱いミレイユ(カティア・ボストリコフ)と孫息子たちリュシアン(クァンタン・オジエ)と、エミール(トマ・デュヴァル)らが訪れて、賑やかになったラドミラル氏の邸に、また一人めったに訪ねてこない娘イレーヌ(サビーヌ・アゼマ)がやって来た。それは、最新型4輪自動車ドラージュを運転して愛犬キャビアとともに、みんなが昼食を食べて午睡に入った時だった。パリでファッション・ブティックをオープンしたばかりで若々しく美しい彼女は、久しぶりに実家に帰りリラックスするが、彼女は恋に悩んでいる様子だ。恋人からかかってくる筈の電話を待っているのだ。今はいない母(クロード・ヴァンテール)のイメージが現われてイレーヌに言う。“人生にどこまで望めば気がすむの”。ミレイユが木に登って降りれなくなるという騒ぎが起こる。なんとか救い出されるが、今度は、パリからかかる筈の電話がかかってこないのに苛立ったイレーヌがパリに発つと言い出す。娘をなだめて、自分のアトリエに招いたラドミラール氏。彼は、数年前までは風景画を描いていたが、最近はアトリエの中の椅子等のオブジェを描くように変わっており、そこに父の絵に対する苦悩を見るイレーヌ。屋根裏部屋に行った彼女は、そこで美しいレースのショールをたくさん見つけるが、その奥に情熱的な画を発見し感動する。イレーヌに誘われてドライブに出たラドミラル氏は、森の中のレストランで妻の想い出をしみじみと娘に語る。そんな父にイレーヌはいっしょに踊ってと言い出す。二人が家に戻るとパリからの電話が彼女を待っていた。直後、とりみだして去る娘を、そっと送り出す父。夕方になり、ゴンザクたちをいつものように見送った彼は、帰路、ふたりの少女が目に映る。アトリエに入ったラドミラル氏は新しい画布に向かうのだった……。