一九三九年、ドイツ軍はポーランドに侵入、フランスもドイツと戦争状態に入った。パリの下町に住むパン屋の娘婿ロジェー(シャルル・アズナヴール)も応召した。自由主義の新聞“エスポワール”の記者ジャン・デュリー(ジョルジュ・リヴィエール)に、社長で主筆のデルマスは後を継がせるため、応召を断念させようとしたがダメだった。彼に好意を寄せる女記者フロランス(ニコール・クールセル)の止めるのもきかず、フランスの自由を守るために戦地に向った。一九四〇年の春、ドイツ軍の捕虜になったロジェーとジャンは、ライン河の軍用仮橋の上で知りあった。二人は農村の農家で使役を命じられた。村長の農場で働くジャンに、村長の娘ヘルガ(コルドラ・トラントフ)が首ったけになった。ある日、ジャンは彼女を森に誘い、裸にしておいてトラックで乗逃げし、脱走に成功した。ヘルガはドイツ軍に逮捕され、彼女に片想いするロジェーの気持は沈んだ。パリに潜入したジャンはレジスタンスに参加した。デルマスはペタン政権に協力しフロランスも同じだった。ジャンはロンドンに渡り“自由フランス”紙で活躍し、十字勲章を受けた。村ではヘルガが懲役から戻った。彼女はフランス人を憎んだが、いつしかロジェーを愛するようになった。村長が応召し、ロジェーが代理に選ばれた。彼は村人のためにつくした。一九四四年、連合軍はフランス本土に上陸、パリは解放された。デルマスは自殺し、ジャンは“エスポアール”紙の社長になった。フロランスが彼を訪ねてきた。彼女の過去を許せぬジャンも、ついには、彼女を抱いた。フロランスは外国人と結婚するために別れをいいに来たのだ。翌日、ジャンは停車場に行き、フロランスを連れもどし求婚した。一九四五年、村は連合軍に占領され、ロジェーらは故国に向った。パリの家に帰ったロジェーを妻のアリスは相変らず冷くあつかった。ジャンの同僚はフロランスとの結婚を反対した。彼女はゲシュタポの司令官の情婦だった。ジャンは“エスポワール”か彼女のどちらかを選ばねばならなかった。家を出たロジェーはジャンを訪れ、ヘルガのもとへ行く通行証を頼んだ。通行証を手に入れたロジェーをジャンはあのラインの仮橋まで送っていった。その後で、ジャンはパリに二つの電話をかけた。一つは“エスポワール”に辞職と結婚の知らせだ。もう一つはフロランスへ。ベルは鳴っても誰も出ない。机の上には彼女の「外国へ行く」という置手紙があった。