海面下10メートルの海底に、海底調査探険隊の本部がある。そこには隊長のクーストー博士と七人の海洋学者が住み、海上の船から新鮮な空気が送られ、圧力ガマに入れられた食料が運ばれる。空気は普通の二倍の気圧を受け、二倍の重さがあるがそれは感じられない。ただ酸素の量も二倍である。七月五日、アクアラングをつけた二人の科学者が、本部よりさらに深海にあるスモール・ハウスで一週間の生活をするため出発した。スモール・ハウスの空気はヘリウムと窒素を含み気圧は普通の三倍半、声は奇妙な響きをもって聞こえる。二人のようすは本部のテレビで見守られている。不思議な生物の数々、特に夜になると名前もわからない生物が活動する。二人は、あらゆる種類の魚、貝、海藻を採集し、再び本部にもどる。彼らの報告からクーストーは更に深いところに基地を作れるという確信を得た。次に潜水円盤が未知の深海に挑んだ。正体不明の生物が現われ、カキの化石などがあった。三〇四メートルまでいき、再び上昇し海底の洞穴に入る。永遠の闇に光をあてると、そこには何と水面があり、天井との空間には吸うことの出来る空気があった……。しかし、海底の神秘をさぐること、それはまだ第一歩を踏みだしたばかりである。