ベルリン警察の警部ホルクの息子アルバート・ホルクは交通整理の警官として働いていた。或夜一日の任務を終えた彼は街の騒動を見つけてその場に駆けつけた。一人の若い女が宝石店からダイヤモンドを盗んだと騒がれている。アルバートは女の雨傘の先に隠されたダイヤを発見した。女は貧困の末罪を犯すに至った不幸な人間として自分を装ってはいたが、実は「ダイヤモンドのメリー」という女賊だった。だがそれと知らぬアルバートは彼女の言葉を信じ、哀れに思って警察へ連れていく前に女の家へ寄って身分証明書を持って来るように計らってやる。女は彼を自宅へ入れるや手管をもって彼をあやつってしまう。ちょうどその頃、パリの町を騒がせた銀行盗賊は或る銀行の金庫を襲い数百万フランを奪い去った。パリにいては危険の多い事を悟ったその盗賊は飛行機でベルリンへ逃げた。その盗賊はメリーの情夫だった。次の朝アルバートの許に一個の小包が届く。その中には彼が昨夜メリーの部屋に落として来た警察の身分証明書があり、シガーの箱まで添えられていた。屈辱に耐えかねた彼はメリーの所へ「贈物」を返しにいく。しかしその時メリーの心には或る変化が起こっていた。若い警官の純情が彼女の心に触れたのである。彼女は彼を愛し始める。そして彼が怒りと絶望に慓えながら女の前に立った時、彼女は昨日自分がほんの気まぐれにした事が自分と彼を永久に結びつけてしまった事を感じた。その時パリから帰って来た彼女の情夫が現れる。二人の男の間に激しい格闘が起こった。ついにアルバートは正当防衛で男を殺してしまう。気魂たえだえに彼はすべて父に打ち明ける。老警部にとって義務の一念は父性愛より強い。彼は自分の手で息子を縛り検事局へ引き立てていく。公判の最中、法廷にメリーが現れて彼の無罪を証明する。しかしそれと同時に彼女は身の素性を明かさなくてはならなかった。アルバートが自由の身となった時、彼女は牢獄に引かれて行くのであった。