ロシアの農村には無知と貧窮とが永らく巣喰っている。農婦マルファ・ラプキイナもその一人だが、あまりに難渋な生活より目醒め、多くの人々の嘲笑の間に、農業教師指導のもとに一つの協同組合をこしらえる。干ばつのため農民は神に祈るがその効果はない。マルファの組合では新らしい機械、牛乳分離器を手に入れてその成績がいいので、次第に組合員の数が殖える。マルファの夢は夢でなくなった。組合共有の種牛の結婚式の日が来て、華やかな笑いが初めてこの村に訪れる。草刈る頃となり、収穫の頃となって人々は一層、機械(トラクター)の必要を感じる。だが都会では、官僚主義がはびこってらちが明かない。マルファはトラクターを手に入れるべく代表となって町へゆく。その留守の間に彼女達の種牛は富農の手で殺される。だが、そんなことでは、もうこの組合はつぶれはしない。ついにトラクターは町からやって来る。ユーモアに富んだその試運転の日の興奮。そして、それは鋼鉄の大進軍の前衛部隊に外ならないのである。