フランス劇壇の異彩で、今日では映画界にも独歩の地位を占めているサッシャ・ギトリーが自作の小説『詐欺師の物語』を自ら脚色・監督・主演したもので、彼の第二回のトーキーである。そして全篇彼のモノローグによって筋を運んでいる異色作品である。ギトリー以外の出演者は彼の夫人で彼と度々共演しているジャックリーヌ・ドゥリュバック「乙女の湖」「或る映画監督の一生」のロジーヌ・ドレアン、「巨人ゴーレム(1936)」「隊長ブーリバ」のロジェ・デュシェーヌ、「望郷(1937)」のフレール、新人ピエール・アッシィ、「コゼットの恋」のマルグリット・モレノ、「上から下まで」のポーリーヌ・カルトン、「最後の戦闘機」のセルジュ・グラーヴ少年、「夜の空を行く」のピエール・ラブリ、ガストン・デュプレー等である。音楽はアドルフ・ボルシャール、撮影はマルセル・リュシアン、装置はピエール・メネシエが担当している。なお日本版はギトリーに代わって徳川夢声がモノローグを受け持っている。