第二次大戦終結後2年たった北フランス。未だ戦火の傷は癒えず、行方不明者の捜索にあたる初老のデラプラーヌ陸軍少佐(フィリップ・ノワレ)はそんな中、パリから夫の行方を捜しに来た美しい貴婦人イレーヌ(サビーヌ・アゼマ)と出会う。何かと彼女の世話を焼いているうちに少佐は彼女に好意を抱き始めるが、それが充たされるには二人の身分の違いは余りに大きかった。そこへ新たに加わったのが、若い田舎娘、アリス(パスカル・ヴィニャル)だった。二人の女との奇妙な関係の中に身を置いているうちに、少佐はイレーヌとアリスの捜しているのは実は同じ男ではないかと疑い出す。ある日、二人の捜している男の行方が確実にわかる遺品や遺体をのせた列車がトンネル内で爆発事故を起こし、トンネル自体も崩壊の危険があった。少佐は生存者を救出した上で、列車をトンネルごと封鎖する決定を下す。それは同時に過去の呪縛の封印でもあった。イレーヌは夫の死を確信してパリの上流階級の生活に戻り、またアリスも去っていった。残されたデラプラーヌ少佐は自分自身の戦後に向けて新たな一歩を踏み出そうとしていた。