火の神テミスと水の神グラウコスは仲の良い姉弟だった。二人の仲を嫉妬した風の神アルゴンが悪い噂を流し、姉は陸へ、弟は海へ別れてしまった。発端はここにあった。火の子マルタ、水の子シリウスが出会った。磁極に吸いよせられるように見つめ合う二人は、恋に陥ちた。シリウスを見守るモワルやマルタにつきっきりのピアレに不吉な予感が走った。二人は会ってはいけない国の子だ。二人の愛を実らせるには、九十年に一度訪れる日蝕の日にチャンスがあるという。その日はあと一週間後に迫っていた。しかし、二人の仲はテミス、グラウコスにも知られ、牢から脱出しようとしたシリウスは死んでしまう。シリウスの死をきっかけに、火と水は争いに終止符を打つのだった。