八世紀の末。都に近い美しい山里。行商人の宇陀が竹取の家へ行き、女房の田吉女がぼんやりとしているのを目撃する。わずかの金がないばかりにたった二、三日の患いで娘の加耶を亡くしてしまったのだ。夜、閃光が空を走り、何か巨大なものが大音響とともに竹林のある山に落下する。翌日、竹取の造は竹林へ行き、加耶の墓のそばで金属物体を見つけた。墓に向かって光線が走り、物体の中にいた赤ん坊が見るまに加耶そっくりの少女に変身する。だが、その瞳は青かった。小さな水晶球を握って離さない少女を、田吉女は天からの授かりものとして育てようと言い出す。金属物体を宇陀が彫金師のところへ持ち込み、それが混りけのない金であることがわかった。宮中の紫宸殿で朝議が行われ、山里の天変地異が話題になり、大伴の大納言がわが国ではとれない純金が出廻っていることを報告する。加耶が一日で、十七、八の娘になり、竹取の造は山里を離れた場所に豪荘な邸をたてて移り住む。加耶の美しさが近隣の評判になり、かぐや姫と呼ばれるようになった。安倍の右大臣、車持の皇子、大伴の大納言の三人が彼女に求婚する。近くの長老の家の子守りで、盲目の明野に相談し、世に得がたい宝物といわれる蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、竜の首の玉を持って来た人に嫁ぐという条件を出した。三人はそれぞれ船を仕立てて出発していった。満月の夜、水晶球を通じて加耶が月から来たことがわかった。車持の皇子、安倍の右大臣はいずれも偽物をさし出し、大伴の大納言は竜に襲われてしまう。水晶球から通信が入り、次の満月に月から迎えにくるという。帝は自分の威信にかけ、月からの使者を阻止せよと藤原の大國に命じる。満月の夜、巨大な宇宙船が月から飛来した。兵士の射る矢は何の効果もなかった。加耶は宇宙船のなげる光線の中に入って上昇していく。明野の月が見えるようになり、大伴の大納言は「かぐや姫、きっとまた会える」とつぶやくのだった。