北陽大学々生の島崎角太郎は、侠客だった祖父の血をひいている。今は板前となっているが、昔は角太郎の祖父のもとで侠客として男を磨いてきた源吉は、角太郎をなんとか一人前の男にしようと、旅に出すことにした。やがて、角太郎は舎弟分の達夫を従え、祖父と兄弟分だった、大阪の浅田親分を訪ねた。釜ヶ崎にある浅田一家はすっかり寂れ、今では浅田一家の若衆だった秋津大三が、親分を出しぬいて新興暴力団北政会を興し、釜ヶ崎一帯の労務者を牛耳っていた。角太郎は、労務者に混って働いていたが、そこで学生運動の闘士堀田浩と知りあった。堀田は労務者たちを煽動して、暴力団追放、ピンハネ一掃の運動をしていた。ある日、角太郎は女番長の銀子たち不良学生グループを叩きのめしたことから、彼らのボスに祭り上げられ、各大学・高校の番長を結集させた「侠志会」の会長となった。一方、北政会傘下の学生やくざグループ「難波会」の会長高岡竜次は角太郎に決闘を挑むが、角太郎に一撃のもとに倒されてしまった。ある日、北政会の車が、労務者の群集の中に突っ込んだことから、労務者たちの怒りは、ますますエスカレートした。そして、これを期に左翼学生グループ、“黒い星”は労務者たちを煽って、北政会に対する投石など暴動を起こしていった。追い込まれた北政会は、警察に手を廻し、角太郎を喧嘩に巻きこませて逮捕させ、また“黒い星”最高幹部の尾関剛二を三千万円で買収した。買収された尾関に抵抗した堀田は、組織の脱落者としてリンチを受け、角太郎に見守られながら息を引きとった。その夜、堀田のオトシマエをつけるべく、角太郎は単身北政会事務所へ殴り込んだが、すでに、東京からかけつけて来た源吉が、日本刀を振りかざして暴れていた……。