眠狂四郎は、岸和田藩家老内藤主水から主君寵愛の女理江を殺すよう頼まれたことから、老中の座をめぐる岸和田、薩摩両藩の争いに巻き込まれた。薩摩の暗殺団隠密党に襲われた狂四郎はその一人混血の剣士梅津一郎太におのれの姿をみた。江戸屋敷で薩摩の間者理江を犯した狂四郎は亡き母の面影をその面上にみるのだった。数々の罠が狂四郎を待ちうけていた。武家妻いとは、操を代償に良人の命乞いをし、スキをうかがい魔剣をふるった。また、狐つきを装った千佐は吹針で狂四郎の眼を襲った。半ば盲いた眼をかばいながら、大河を渡る狂四郎に暗殺団の火炎攻撃。炎上の舟中、危機一髪狂四郎を救った妖艶な鳥追い女お登奈は狂四郎に抱かれた。その背に入れた狂四郎の刺青を愛するがゆえに狂四郎の死を願っていた。が、お登奈は狂四郎を襲った断崖の岩石攻撃の犠牲となった。さらに、兄の仇と理江を人質に勝負を挑んだ奥村弁次郎の豪剣も、狂四郎の魔剣に倒れた。隠密党と最後の決戦の時が来た。理江を討った隠密党の烈剣も怒りの円月殺法にことごとく倒された。そして、幽鬼さながらの一郎太も凄絶な死闘の末、狂四郎に屈した。