夏の暑い街道を、一子大五郎を箱車に乗せて元公儀介錯人拝一刀が歩いている。厳しい父と子の愛、明日の命も知れない孤独の旅をつづけて。街道脇の林の中で、三人の“渡り徒士”が旅の母と娘を犯し凌辱する。しかし“渡り徒士”たちの一人に折り目正しい武士がいた。孫村官兵衛。彼は真の武士道とは何かを求めつづけていた。“渡り徒士”とは参勤交代の時だけ各大名に雇わられる流れ者たちのことである。「渡り徒士にも武士としての誇りがある」と言い、母と娘、そして先の“渡り徒士”の一人を斬る。現場を目撃した一刀に官兵衛は立合を所望するが、一刀は真の武士たる官兵街の気持を知りその場を離れるのだった。宿屋に宿泊した一刀の部屋に、お松という娘が飛び込んで来た。お松は女郎として売られて来たのだが連れに来た文句松が突然襲いかかり、逆に殺してしまった、というのである。やがて、女郎を管理する忘八者がお松を引き取りに来た。その女元締酉蔵は、金で買われたお松を一刀に渡しては、忘八者としての面子がまるつぶれで、忘八者の責め折檻を受けた後ならば義理を果たせると言う。一刀はその責め折檻を身代りに受けてお松を救ってやるのだった。酉蔵は父の元掛川藩家老三浦帯刀を一刀に会わす。かつて、領主出羽守氏重は気狂いであったのだが、藩取り潰しを防ぐべく帯刀は秘密にしていた、にもかかわらず、御側要人猿渡玄蕃に裏切られてしまったのである。結果、帯刀は追放され、玄蕃は天領地の代官におさまり、実権を握り、私腹をこやしていた。酉蔵から玄蕃刺殺の依頼を受けた一刀は代官屋敷へと向かう。大五郎をオトリに川の中へ誘って水鴎流・斬馬刀で馬上筒の強者朽木六兵衛を斬り、まず玄蕃のドギモを抜く。早業で鳴る使い手の左門も、宙に飛ぶ一刀の胴太貫に斬られる。そして、一子大五郎を連れ代官に加勢している刈谷藩二百人の待つ池蔵ヶ原へ。一刀は、箱車に据えた連発銃を乱射、胴太貫を駆使し、次々と敵を血祭りにあげていく。そして、玄蕃の胸に、帯刀に代ってその怒りと怨念のこもった胴太貫を突き刺すのであった。