アラスカの森林で伐採監督として働き五年ぶりに故郷の観光都市倉岡市に戻った佐伯次郎は倉岡市長だった父の大三が半年前に殺されたことを知った。家には後妻の久子がいた。警察を訪ねた次郎に幼なじみの細木警部は、大三は市長再選の祝賀パレードで目抜き通りの空ビルから狙撃され即死したと語った。倉岡市は東京から来た後藤組と地元の半田組の争いで恐怖の街と化していたが現市長の今村は無力を嘆くばかりで暴力団には目をつぶっていた。そして次郎の出現が二派の争いをさらにあおった。市長殺しのカギをにぎるゆえに次郎をねらう後藤組、次郎を囮に後藤組を倒そうとする半田組。次郎に真犯人の指紋を売りたいという電話。約束の場所には半田組の幹部西条、後藤組の殺し屋松井、警官関の三人がいた。松井はルーガーで脅したが次郎は屈しない。父を殺したウィンチェスター銃の持主滝川から銃を盗んだのは家出した娘淑子の恋人で数カ月前に事故死した仲田であったことを聞き、淑子の働く後藤組の本拠キャバレー“カスパ”に乗り込む。淑子は“カスパ”の持主が久子だと教えた。市長夫人と暗黒街のボスとの結びつき、異常な関係に疑問をもった次郎は後藤に迫るが悪徳刑事根本に妨害され松井に引き渡される。次郎は逆に松井をノスが、このとき初めての電話の主が警官関であったのに気づき急いで彼のもとへ行くが、関は次郎に証拠の薬莢を残して半田組に殺されていた。次郎にも殺し屋の手が。彼はとっさに西条の車のトランクに。西条の車は佐伯邸へ。次郎は、久子が父の遺産を狙い自分を殺そうとする女であり、今は情夫の後藤を裏切り、西条に寝返りを打とうとしているのを知った。次郎は細木警部に薬莢を渡した。細木はあの空ビルに松井がいたことを洩らした。が、その直後、悪徳をあばかれた根本刑事は細木を襲って薬莢を奪い、罪を次郎にかぶせた。根本は半田組に殺され薬莢は半田の手に。次郎は真犯人の名前と薬莢の交換を半田に申し入れた。半田はこの機会に後藤組をも倒そうと次郎と薬莢を囮に後藤組をおびきよせた。忽ち起る深夜の銃弾戦。後藤は逃げたが、半田、西条、松井は倒れた。が、次郎にいつしか好意を抱いていた松井は死の寸前、あの日の真相を語った。後藤の命令で大三を狙おうと空ビルに松井が忍び込んだとき彼より先に目的を果たしたもう一人の男がいた、と。後藤も殺され、倉岡市の暴力団は亡んだ。が、市長殺しの真犯人は生きている。次郎の目は憤然と輝いた。