京南大学の音楽部員田沼雄一は、スキヤキ屋田能久の若大将。大学の人気者でけんかも大好き。ふとしたことから、雄一はファッションバンドの出演をたのまれた。いよいよ当日、きらびやかな舞台では雄一がバンドをひきいて歌っている。そんな雄一の若々しい姿に目をとめたのは中里澄子である。彼女はラベル洋装店のお針子、雄一が新聞部の団野京子と広告とりでラベルに行ったときから心をひかれていたのだ。だが、今日もまた雄一が京子と一緒にいるのをみてがっかりする。一方、雄一の留守中、家には祖母の幼な友達京南大学の石脇教授が、雄一を拳闘部へ入れるよう説得に来ていた。意気投合したりきは、父久太郎に内証で雄一をくどいた。翌日から雄一の激しいロードワークが始まった。雄一が無断で拳闘部に入ったのを知った久太郎はかんかん。身のためと、雄一をついにあるレストランの見習コックに出した。ある日、ラベルで仕事中の澄子の耳に聞きおぼえのある調べが--。ライバルがあってはと、雄一のことをすっかりあきらめていた澄子ではあったが、みると路地向うの窓辺でコック姿の雄一がギターをかかえていた。窓をへだてて心を通わせる二人--。やがて新学期。京南大学では、待望の拳闘部の対抗試合が始まった。リングの上では、雄一が下馬評の高い熊田と苦闘を演じている。リングサイドでは必死の声援を送る澄子。そしてついに雄一の手が高々と挙げられた。喜びに我を忘れた澄子は、恥らいも忘れて雄一の胸にとびこむのだった。