大名組六代大名大作は、子分の太郎をつれて、三年振りで娑婆に出て来たが、俗界のようすは一変して、大勢の子分をかかえた大名組も今は、市会議員に立候補する矢東弥三郎にのっとられていた。そして二号のミナコまで、子分のテツに寝取られて、大作は悄然とした。大名の家は矢東の表札がかけられ、妻の梅子は、新しい宗教にこって太鼓を叩き、息子の健作は、新聞配達をしているという落ちぶれように思い余った大作は、ドスを片手に殴り込んだが果せず、幼馴染のシイタケこと椎野に助けられた。シイタケは、矢東の運転手で毎週銀行に預金をおろしに行くという。話を聞いた大作は、矢東の口癖の“ぺンは文化の生命なり”の不愉快な仮面と、平和産業の看板をかける組をわがものにしようと、太郎が爆弾作りの名人なのを利用して万年筆に爆弾を仕組んで、矢東を狙った。矢東が床屋に行ったのを機会に、清掃員に化けた大作と太郎は、矢東の背広の万年筆をすりかえたが、丁度一緒に来ていたシイタケが、その背広を持つと銀行に出かけていったので二人は青くなった。貧乏に敗けたシイタケは、預金の金をもってドロンをきめていたが、折しも、銀行ギャングに会い、万年筆も金も置いて逃げ出した。翌朝、爆弾仕掛けの万年筆は、掃除婦の手に渡り、健作は、それを三〇〇円で買って、大得意。大作も見覚えのある万年筆に、ようやくの思いで捨てさせた。一方矢東は選挙に敗れたが、一案を思いついた大作はゴルフボールに爆弾をしかけ、当選議員の命とひきかえに、五〇〇万でボールを矢東に売った。身代り当選に喜んだ矢東だが、またも健作がキャディーとして市会議員についていると知り、太郎はゴルフ場に車を走らせたが、一瞬早くボールは、場外に飛び、太郎の車の傍で爆発した。爆風でボロボロとなった車の側で太郎は健作の無事を喜んだ。