砂走刑務所の第七号監房には、金庫破りと読唇術を得意とする大平久をはじめ、陣十郎、薮越与太郎、花見小路抜麿、ジョージ馬場の五人組が入っていた。担当看守の加古井はバンドを作って更生指導をしようと頑張っているが、五人組には効目はない。そんな時に第七号に石川吾郎という男が入ってきた。世界中の悪銭をかっさらおうという石川は、大平の金庫破りの腕が借りたくて、わざと捕ったのだ。目下の計画は、日本の暗黒街に君臨する“頭取”の持つ十億円を盗むことだと言うと、大平は忽ち意気投合、他の四人も加わって、ここに六人組の義賊団が生れた。ある日、慰問演奏に外出した六人は、加古井を道連れに脱走し、途中、デパートを襲って身じたくすると頭取邸に向った……。侵入した石川と大平は殺し屋どもを片づけ、無事金庫を開けることが出来た。ところが現われたのは、石川と同じ理想を持つ美女、一匹狐の高山姫子だった。姫子は頭取に捕えられていたのだ。素早く退散した石川はガッカリしてしまった。一方、加古井は、脱走幇助罪で指名手配されていることを知り、仲間に加わった。やがて、石川は日本中のギャングたちが、太平洋物産チェーン全国協議会の名で集まってくるのを知り、会場に忍び込んだ。ところが、姫子は色仕掛で頭取に近付いているのを見てびっくり。調子のいい石川は姫子をまるめ込むと、会議の内容を聞いた。それによると、頭取たちは十億円の金を車に積んで伊豆まで運ぶというのだった。石川は更にその正確な時刻を聞き出すと、姫子を浴槽に閉じ込め、仲間と共に十億円の後を追った。しかし、頭取の車の前後には殺し屋どもがガッチリ固めている。ここまではうまくいった石川たちだが、果して十億円強奪に成功するかどうか。間もなく伊豆である。