週刊誌「ウィーク・ポイント」の記者矢島周作と、カメラマンの北川洋太は、年中遅刻をしたり、原稿を取りにいってはそれを忘れるなどの破廉恥コンビだった。今日の仕事は、竹村に原稿をもらうこと。ふたりは勢いよく竹村を訪れたものの、ここ二十年も女性の手を握ったことがない純情作家竹村の筆は、さっぱり走らなかった。たまりかねた矢島・北川コンビは、竹村を引っばりだし特訓を開始した。ソープランド、アルサロそしてストリップやブルーフィルムの見学と特訓を続けた。ところが、最後の打ち止めに入ったバーで、竹村はホステスの君子と交渉を成立させ雲がくれしてしまった。原稿とりに失敗したふたりは、その帰途タクシーの中で、作者名のない小説原稿を捨った。ごれが凄い傑作、ふたりは窮余の一策として竹村の替りに山吹咲代という架空女流作家を仕たてて売りだした。しかし、これが読者の熱狂的な支持を得て、売上げは倍増、次の作品を依頼される始末だった。ふたりは、写真だけでも何とかしようとバーのホステス須永糸美を山吹咲代に仕立てた。一方で姿なき作者を探求するふたりはドヤ街に赤石銅幹をつきとめた。次の作品の執筆を懇願するふたりを前に、銅幹は名前を架空にするという条件で、書くことに同意した。女房から逃れている銅幹は、住所の知れることを心配していたのだ。これには二人は大喜び、仕事は順調にはかどった。山吹咲代なる作家は、次々に作品を発表し山吹咲代こと須永糸美は遂に新人文学賞を受賞して脚光を浴びた。だが、前々から糸美に不信を抱いていた週刊ロマンの記者小森麻子は、彼女とテレビタレントとのスキャンダルをスクープ。その上、麻子の計略にのってホテルにカンヅメにされた糸美は、短篇を書かされるはめになってしまった。矢島と北川は、糸美を助けにホテルに直行したが、すでに遅かった。度重なる失敗にふたりはクビになりかけた。ところが、糸美の書いた短篇が評論家や文学者に高く評価され彼女は女流文学賞を受けて一段と名をあげた。これで、クビをつないだ矢島と北川は、今日もまた編集長に怒鳴られながら原稿とりに街の中へ消えていくのだった。