宇野、江田、糸川、赤塚大坪らの五人は、授業をさぼっては、楽器演奏にうちこんでいた。彼らの夢は、一日も早く東京に出て、ステージ演奏をすることだった。東京には夢がある。五人は希望に胸ふくらませ上京したものの現実は厳しかった。そんな五人を助けたのは、画家のタマゴのルミだった。ところがそのアパートには、かつて彼らが無銭飲食をしたレストランのウエートレスの久美子がいた。久美子は五人に同情し職探しに奔走するのだった。宇野らが脱走少年と間違えられたのは、そんな時だった。鑑別所から解放された五人に幸運がめぐって来た。宇野の家で働く婆やのはなが、彼らのために財産をはたき、楽器を揃えてくれたのだ。一方、久美子も山本プロに演奏テープを持込み、彼らの売り込みに懸命だった。やがて久美子の熱意が入れられ、五人は憧れのステージに立つことなった。だが、それは儚い夢と消えてしまった。久美子が、ひき逃げされたのだ。五人は、初ステージをなげ捨て、楽器を売って久美子の手術費にあてた。そして、初出演を案ずる久美子には、大成功を伝えるのだった。やがて、久美子のために楽器のない演奏会がはじまった。レンガを楽器にみたてて演奏する五人。ところが、それらはいつしか本物に変わり、五人は前途を祝福されながら演奏し歌いつづけるのだった。