日本舞踊のお師匠さん兼女中のエリ子は、主人の小島家夫人に頼まれて、夫人の弟宏とエリ子の親友ミチオとを見合いさせることになった。ミチオは作曲家と歌手の夫妻の板倉家で好きな音楽の勉強をしながら、やはり女中をしているのだった。見合いの当日、片想いだったミチオに、晴れて会えるとハシャギ過ぎた宏は、鼻の頭を蜂に刺され大騒ぎ。そこでエリ子は下宿している学生京須をピンチヒッターに起用。一方、宏の身替りとは知らぬミチオは、宏だと思い込んだまま京須に夢中になってしまった。彼を好きなのはミチオばかりではない。ふとした縁で京須の引越しを手伝った岡田邸の女中トミ子も、彼に首ったけである。エリ子も論外ではない。そして、この三人の娘の頭の中では、それぞれ京須と一緒に唄いそして踊る楽しい幻想が繰展げられるのであった。そんなある日、トミ子は叔父の計いで、罐詰屋の息子吉岡と見合いをさせられたが、京須に魅かれている彼女はもちろんこの話を断った。吉岡もお義理でした見合だったが、明朗活溌な彼女をいつしか好きになってしまった。その頃、宏は自動車事故で足を骨折し入院したが、ミチオが見舞に来て、京須のことを宏と思い違いしていたが矢張り本当の宏さんの方が好きと打明けた。そこへトミ子と吉岡がお揃いで見舞に来た。お見合い以来、二人もすっかり仲良くなってしまったのだ。三人娘の巻ぞえをくった京須は嫌気がさして、エリ子が涙を浮べて引止めるのも聞かず下宿を引越してしまった。--エリ子の舞踊発表会の日、トミ子と吉岡、ミチオと宏の二組のカップルが仲よく姿を現わしたが、京須だけが来てない。しかし、ハネて帰ろうとする廊下でエリ子はぱったり京須に出会った。かくして、三組のカップルは三人娘の朗らかなコーラスに乗って目出たく結ばれたのであった。