悪名高い新町の重蔵をたたき斬った浅間の伊太郎は、草鞋をはいて旅に出た。道中、土地のゴロツキにからまれていた巡礼親娘を救った伊太郎は、上尾の佐兵衛親分のもとに草鞋をぬいだ。佐兵衛は病気で、それにつけこんだ赤間の金平に縄張りを奪われていた。涙ながらに語る娘・お君の言葉が終らないうちに、伊太郎は長脇差片手に飛び出していった。金平を斬った伊太郎は、再び草鞋をはいた。途中、また巡礼親娘に出会った。その時、金平の乾分たちが三人を囲んだ。所詮彼らは伊太郎の敵ではなかったが、巡礼・吾平が傷ついた。吾平を背負った伊太郎と、娘・お加代の三人は、土地の親分・虎五郎の世話になった。一宿一飯の義理から、伊太郎は虎五郎の女房・お君とかけ落ちした利吉を斬った。が、利吉は苦しい息の下から「お君は俺の女房だ、虎五郎が……」というのだ。当の虎五郎は、好色な目を光らせ、お加代に襲いかかっていた。そこへ駈けつけた伊太郎、虎五郎をぶった斬った。--お加代の腕をとった伊太郎が、故郷の母のもとへ現れた。堅気になって戻ってくるまで、お加代を預ってほしいと言った。半年、長くて一年、それまでには必ず帰って参りますから、と念をおして。