立川真紀は、女ながらも「銀座民報」という小新聞を発行して、銀座界隈に巣食う悪辣な顔役や暴力団などの暴露をやっている。しかし、真紀の姉千加子は銀座のボス時田の妾になって、バア・ホワイト・リリーのマダムになっている。千代子に使われている少女朝代は時田の毒牙にかけられそうになって逃げ出し、真紀の事務所へ逃げ込んだが、それを追って来た時田の用心棒九鬼は、そこで昔の戦友八木沢に出会った。八木沢は栄クラブと称する金融業を営んで、真紀の新聞にも相当の金をつぎ込んでいる。それと同時に彼は時田にも五十万円ほどの金を貸していた。朝代を逃がした時田は、彼女が真紀のアパートにかくまわれていると知って、九鬼を連れて乗り込んで行くが、アパートの部屋にいた八木沢に追い返された。九鬼は途中でふと気がついてアパートへ引き返したが、その時はすでに遅く、アパートの一室には八木沢に犯されてしまった朝代が一人泣いているばかりだった。九鬼は朝代が可哀そうで、「死んじゃいけない」と慰めて去った。朝代はそれ以来行方が判らなくなったが、八木沢のホテルへ現われ、アドルムを飲んで自殺をはかったが、命はとりとめた。一方、時田の親分波多野は真紀の「銀座民報」を潰すために、「あかつき新聞」を発刊することにして、その資金の調達を時田に命じた。時田は広告料と称して、銀座の各商店を脅迫して歩いていたが、思うように金が集まらないので、九鬼に拳銃を渡して、八木沢を脅迫して金を出させて来いと命じた。ニヒルな九鬼も、次第にこうした汚濁の世界がいやになって来た。ある夜、街の女になっている朝代を見つけて自分の部屋へ連れ帰って来てからは殊にそうであった。そして、二人の間に愛情が生れ、ささやかながら二人だけの結婚式を挙げたとき時田と手を切ろうという九鬼の決心は決まった。時田へ拳銃を返しに行った九鬼は、時田から射たれそうになったが、その弾丸は、日頃秘かに九鬼を愛していた千加子に当ってしまった。千加子は九鬼の名を呼びながら死んで行った。そして時田は殺人罪として曳かれて行った一方、八木沢も、出資者から返金を迫られ、ついに逮捕状が発せられ法に追われる身になった。高とびをしようとした彼の唯一の未練は立川真紀への愛情だった。真紀は困難な事情を切り抜けて「銀座民報」を根城に銀座の悪の暴露を続けて来ていたが、最後の資金を調達したからという八木沢からの呼び出しにホテルを訪ね、八木沢に暴力をもって迫られるが、九鬼の助けによって救われた。そして八木沢は真紀の電話で駆けつけた警官に捕えられて行った。