尾張藩士加藤某の妻女に夫の仇、別式女・お雪を斬るべく依頼された拝一刀は、お雪のことを聞くため刺青師字之吉を訪ねた。宇之吉は一刀に、お雪の肌に、乳をまさぐる金太郎童子を胸に、山姥の入墨を背中に彫ったことを話す。その頃屋外で待っていた大五郎は、三河万才の後を追って行き、迷子になってしまった。一日、二日と父を捜す大五郎は飢えと寒さに憔悴してくる。やがて、ある寺で父と似た姿を見たが人違いだった。だが、その男、柳生軍兵衛は大五郎の死生眼を見抜きハッとする。そして大五郎の後をつけていく。かつて、軍兵衛は拝一刀と立ち合ったが破れ、密かに剣術修業をしていたのである。一方、大五郎は野道を歩いている時、突然、野火にかこまれる。突差の判断で死地を脱するが、大五郎を見ていた軍兵衛は、子連れ娘の子狼と察し大五郎を斬ろうとする。その時一刀が現われた。父に走り寄る大五郎。一刀は斬りかかる軍兵衛の片腕を斬り落とし、大五郎を抱きその場を立ち去る。柳生の執拗な襲撃をかわしながら、一刀はお雪が乞胸村の出身と知り、村の長・乞胸仁太夫と会う。乞胸とは大道芸を売る芸人で全国的な組織をもつ特異な集団のことである。一刀が来た理由を仁太夫は既に知っていた。そして、お雪が仁太夫の娘であると知った一刀は苦悩する。しかし、仁太夫はお雪のかくれ場を一刀にそれとなく教えるのだった。お雪と一刀は遂に相峙した。そこへ孤塚円記が尾張藩の追手として出現。この円記こそが、お雪がかつて凌辱され怨みをはらすべく狙っていた男なのである。一刀は二人の対決を見守る。お雪は刺青に幻惑された円記を斬った後、自ら一刀の刃に討たれるのだった。やがて一刀は事の真相を知らせるべく尾張藩へと乗り込んで行った。