四世紀にも渡り演出家・俳優たちの創造力を刺激し続けてきた近代劇の祖シェイクスピア。その代表的悲恋物語『ロミオとジュリエット』は、フランコ・ゼフィレッリ監督版(68)をはじめ、ロバート・ワイズ監督による翻案「ウエスト・サイド物語」(61)など、とりわけ好まれて映画化されてきた題材。その90年代版決定打と呼ぶべき本作の監督は、処女作「ダンシング・ヒーロー」で注目されたオーストラリア出身の俊英バズ・ラーマン。2作目となる本作は、主演ロミオ役に「バスケットボール・ダイアリーズ」のレオナルド・ディカプリオを迎え、満を持してのハリウッド進出。ジュリエットには、世界規模のオーディションの末「若草物語」のクレア・デーンズが起用された。原作の台詞を生かしつつ、映像では大胆に現在の風景を紡いでいく脚色は、ラーマン自身と盟友クレイグ・ピアース。製作はラーマンと「エム・バタフライ」のガブリエラ・マルティネリ。スピーディーな映像表現に貢献したのは、撮影のドナルド・M・マカルパイン(「今そこにある危機」)と編集のジル・ビルコック(「キルトに綴る愛」)。ピアース、ビルコックと、美術のキャサリン・マーティン、衣裳のキム・バレットは、「ダンシング・ヒーロー」に続いての参加。もう一つラーマンの「誇張された青春映画」スタイルに欠かせない音楽は、「バットマン・フォーエヴァー」の才人ネリー・フーパー。カーディガンズ、ガービッジ、レディオヘッドら、旬のバンドが時代の空気を表現している。共演として「ザ・ファン」のジョン・レグイザモ、「クルーレス」のポール・ラッド、「スモーク」のハロルド・ペリノー、「ヒート」のダイアン・ヴェノーラ、「ニクソン」のポール・ソルヴィノ、「推定無罪」のブライアン・デネヒー、「エイジ・オブ・イノセンス」のミリアム・マーゴルイズ、「ジャイアント・ピーチ」のピート・ポスルスウェイトと、多彩なキャストが脇を固める。