ある日、コナンの好敵手で世界を股にかける・世紀末の魔術師・キッドから警視庁に謎めいた犯行予告状が届いた。キッドが狙っているのは、大阪の鈴木財閥の会長・鈴木史郎の蔵から発見されたロマノフ王朝の秘宝であるインペリアル・イースター・エッグ。1885年から1916年にかけて50個、皇后への復活祭の贈り物として時のロシア皇帝が宝石細工師・ファベルジェに作らせたとされる、51番目の代物であった。鈴木会長の依頼で警視庁に協力することになった毛利小五郎について、蘭と共に大阪へ飛ぶコナン。彼らを出迎えたのは、蘭の親友で鈴木会長の令嬢・園子と秘書の西野だった。ふたりに連れられ鈴木会長を訪ねたコナンは、そこでロシア大使館のセルゲイ、美術商の乾、ロマノフ王朝研究家の青蘭、映像作家の寒川らと会う。彼らは、商談や撮影の為に鈴木会長の元を訪れていた。さてその夜、予告通りキッドがエッグを狙って大阪の街に出現した。警察の裏をかく大胆な手口で、まんまとエッグを盗み出したキッド。コナンは、関西の高校生探偵・服部平次の協力の下、ハンググライダーを駆って逃げるキッドを追跡するが、途中、キッドは何者かに狙撃されてしまう。墜落現場にコナンが急行すると、そこにはキッドの忠実なしもべで怪我をした純白のクジャクバトと、キッドが右目にしていた片眼鏡、盗まれたエッグが落ちていた。果たして、キッドを狙撃したのは何者なのか、そしてキッドは何処へ消えてしまったのか? さて、取り戻されたエッグは傷を調べる為に、急遽、鈴木財閥の船で東京に運ばれることになった。その豪華客船にはコナンを初めとする面々の他に、香坂夏美というファベルジェの工房で細工職人として働いていた曾祖父・喜市を持つ少女と、香坂家の執事である沢部が乗り込んでいた。船上で、夏美は喜市がロシア革命の翌年、ロシア人夫人と共に持ち帰ったエッグの設計図面を披露。それにより、52番目のエッグの存在と51番目と52番目のエッグの製作者が喜市であったことが明らかになり、更にコナンがエッグに仕掛けられた鏡を見つけたことによって52番目のエッグの在処が横須賀に喜市が建てた香坂家の城であることが判明する。ところがその日の夕方、客室で寒川が右目を撃ち抜かれて殺されているのが発見された。寒川の部屋から西野のボールペンが見つかり一時は西野が疑われも、コナンは世界中でロマノフ王朝の財宝を専門に盗み、右目ばかりを狙って人を殺害するスコーピオンなる人物の情報を阿笠博士からゲットしたことから、西野の容疑は晴れる。翌日、東京に到着した一行は、早速、横須賀の香坂家へ向かった。城内を案内されるコナンたち。そこでコナンは、城に地下室があることに気づく。潜入すると、隠し部屋があった。そして、そこには喜市の妻であるロシア人女性の遺体が、大事そうに52番目のエッグを抱いて安置されていた。コナンは、そのエッグを側にあつらえてあった台座に設置。すると、天井一杯にロシア皇帝一家の仲睦まじい想い出の写真の数々が展開された。その仕掛けと言ったら、まるで魔術でも見ているかのようであった。ところがそこへ、エッグを狙ってスコーピオンが出現した。乾を殺害したスコーピオンは、エッグを奪うとコナンたちを地下室に閉じ込めたまま城に火を放つ。しかし、コナンはその正体が青蘭であることを既に見抜いていた。実は、青蘭はロマノフ王朝を破滅に導いたとされる怪僧ラスプーチンの末裔だったのである。非業の死を遂げた先祖の復讐の為に、世界に散らばったロマノフ王朝の財宝を盗んでいた青蘭。彼女が寒川と乾を殺害した動機は、ふたりが彼女の正体を知りそうになったからだ。青蘭と対峙するコナンに、突如現れ助太刀するキッド。キッドは白鳥刑事に化けて、ずっとコナンの側にいたのである。キッドのお陰で、コナンは青蘭を逮捕することに成功。更に、地下室に閉じ込められていた人たちも助かる。さて、キッドが今回の事件に一枚噛んだのには訳があった。それは、・19世紀末の魔術師・と呼ばれた細工師・喜市への想いからであった。喜市は、日本へ渡ってきたロシア人の妻、実は彼女はロシア皇帝一家のたったひとりの生き残りである三女のマリアだったのであるが、その生い立ち故に正式に日本の墓に埋葬されることのなかった彼女の遺体を子孫が見つけて弔ってくれることを祈ってエッグを手がかりに残したのだ。そして、キッドはその手助けをしたのだった。さて、事件も一件落着して事務所に戻ったコナンと蘭。ところが、蘭は今回の事件を通してコナンに新一の面影を見ていた。コナンが新一でないかと疑う蘭に、真実を伝えなければと思うコナン。その時、ふたりの目の前に新一が現れたのである!だが、実はそれはキッドが化けていた偽の新一であった。お陰で窮地を切り抜けることが出来たコナン。その後、新一に化けたキッドは姿をくらましてしまうが、コナンはそれがキッドが狙撃された時に怪我をしたクジャクバトをコナンが手当したことへの、キッドなりの礼だということに気づいていた。