両親も手を焼くコギャル・直美は、母親が愛人の元に去ったのをきっかけに、旅館を経営する父方の伯母の家に預けられ夏休みを過ごすことになった。だが、田舎の生活は退屈な上、旅館の手伝いや頭の弱い従妹の由美の面倒は鬱陶しいばかり。しかも、酒屋の青年との恋愛も、弄ばれただけの悲しい結末に終わった。そんな直美が、唯一心安らぐのは遠い親戚にあたる小出お婆さんの世話をしている時。近頃少しボケてきた小出さんは、直美が煙草を吸ってもビールを飲んでも怒ったりしない。だから、彼女の前では直美はありのままの自分でいられるのだ。ある日、小出さんの家の屋根裏で小出さんの若い頃の写真を見つけた直美は、彼女の過去に興味を持ち始める。若くて美しい小出さんはまるで女優さんのようだ。事実、彼女には女優だったと言う噂があったが、本人はそのことを黙して語ろうとしない。どうやら、そこには監督との悲恋があったようだ。それから暫くして、直美の父親が事故で死んだ。母親と生活したくない直美は、痴呆が進んで入院した小出さんの所へ向かい、彼女の看病をする。だが、やがて小出さんも他界。新学期、直美は名古屋へ戻ってひとり暮らしを始めることになった。そんな新しい生活の中、小出さんの家にあった彼女の出演映画「螢の谷」のヴィデオを見つけた直美は、その中に若き日の小出さんの姿を認める。