相場の失敗から、夜逃げ同然で人里離れた山中の宿にやって来た紙問屋の旦那と彼の二人目の妻・美緒、そして使用人の小夜。家屋敷を売った金で、どこかで小料理屋でもやろうと言うぼんぼん育ちの旦那は、しかし美緒が別の男・竜とその金を横取りせんとしていることに気づいていない。美緒の奸計を知り、秘かな想いを寄せる旦那を助けようと竜を殺害する小夜。だがそれでも、旦那は美緒のしおらしい言葉に絆され、彼女の気持ちに報いろうとせず、遂に小夜はふたりに刃を振りかざすのだった。そんな小夜に、山姥と噂される彼女の姉でもある宿の女将は、ふたりが残した金の山分けを申し出、また金蔓を宿に連れてくるよう言いつけるのであった。