2003年7月。ジャーナリストの吉岡逸夫は、開戦直前に撮影した前作「笑うイラク魂―民の声を聞け―」の中でインタビューした人々に会う為に、再びイラクへ旅立った。しかも、今回は妻・詠美子と小学2年生の娘・風美との夏休みの家族旅行を兼ねて。果たして、被災地バグダッドとバスラに赴いた吉岡一家は、そこでインタビューした人たち10人に再会することが出来た。だが、その殆どは戦前のフセイン賛美を翻していた。彼らは一様に、戦前はフセイン大統領を批判することなど出来なかったと言った。旅の中で、風美も逞しく成長した。彼女は、訪れた孤児院で国境や言葉の壁を越えて子供たちと交流し、それまで食べられなかった現地の食事も口にすることが出来るようになったのだ。旅を終えて、吉岡は語る。「誰かが何かしてくれる。欧米の命令を待っているだけ。それが今の日本の外交、援助、報道の姿勢。危機の中で、どう対処し、生き残るかは、現地でしか養えない。2003年夏のイラクなら十分家族旅行できると判断した。それを実証したかった」と。