1989年、ベルリンの壁崩壊直前の東ベルリン。アレックス(ダニエル・ブリュール)は東ドイツ建国40周年を祝う式典の夜、改革を求めるデモ行進に参加。その姿を目撃した愛国主義者の母クリスティアーネ(カトリーン・ザース)はショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。彼女が奇跡的に意識を取り戻したのは8カ月後。またショックを与えると命取りになると医者から忠告されたアレックスは、母を自宅に引き取って、東ドイツの体制がずっと続いているふりを装う。ビルにコカ・コーラの垂れ幕がかけられ、国営の食料品店が大手スーパーに姿を変えていく中、東ドイツ製のピクルスを探し求めて街を奔走するアレックス。テレビが観たいという母の要望には、映画オタクの友人デニス(フロリアン・ルーカス)と偽のニュース番組を作って応える。しかしごまかしも限界が見え始め、アレックスは姉のアリアネ(マリア・シモン)や恋人のロシア人看護婦ララ(チュルパン・ハマートヴァ)に、真実を打ち明けるよう諭される。そんな時、一家は郊外にある森の小屋に出かけた。そこで母は、10年前に西側に亡命したアレックスの父(ブルクハルト・クラウスナー)は、家族を捨てたわけではなく、政治的意志で亡命し、西側に母を招き入れようとしたが危険で果たせなかった、ということを初めて告白。アレックスは父に会いに行き、病院で母に面会させる。そして母は、東ドイツが理想の国家になったと信じて死んでゆくのだった。