北イタリアの裕福な家庭に育った少年サンドロ(マッテオ・ガドラ)。13歳の夏、父親と地中海クルージングに出かけたサンドロは、過って真夜中の海に転落してしまう。不法移民を乗せた密航船が偶然通りかかる。見て見ぬふりをして航海を続けたい船員の怒りを買いながら、イタリアをめざす不法移民たちの一人、ルーマニア人の少年ラドゥ(ヴラドゥ・アレクサンドル・トーマ)が海に飛び込み、サンドロを船にひきあげた。ラドゥは、妹のアリーナ(エスター・ハザン)と一緒に船に乗り込んでいた。様々な国籍の難民たちがひしめきあい、水も食料も足りない船上に引き上げられたサンドロは、温かい親の保護下から一転、生き残るための試練にさらされ、さまざまなことを学ぶ。やがて海上巡視船に発見された密航船は、移民センターのある港へ曳航されていく。サンドロは彼を迎えに来た両親に、二人の兄妹を助けて欲しいと懇願する。この13歳の夏の体験が、彼のなかで何かを変え始めていた。彼の熱意に応え、父らもまた移民たちに対する恐れと偏見を乗り越え、ラドゥとアリーナを家に引き取ろうとする。しかし、年齢を未成年と偽証し強制送還を言い渡されたラドゥは、引き裂かれたアリーナをセンターから誘い出し、サンドロのもとに向かった。そして困惑するサンドロの両親に向かって片言のイタリア語で法律や社会の非情さ・不条理さを訴える。その晩、ラドゥとアリーナは、家の金品を盗み、サンドロに黙って逃げ出した。裏切られたサンドロの悩み苦しむ日々が続く。そんなある日、アリーナからミラノに来てほしいという電話が入る。そして彼が訪れた街の一角では、信じられないような厳しい現実が待ち受けていた……。