1961年、カリフォルニア州サクラメントで生まれ、ヴァージニア州ニュー・カンバーランドで育った内気な少年、ダニエル・ジョンストンは、幼少の頃から特異な芸術的才能を見せていた。定期的に自らの思想やストーリーをカセット・テープに録音したり、スーパー8mmで監督・主演したり、アイディアに富んだマンガやアニメーションを描いたりして、ダニエルは少年時代を過ごした。しかし、キリスト教原理主義者の両親の目には、そんな息子の姿は反社会的にしか映らない。ダニエルは家を出て、ヒューストンの兄の家へ身を寄せる。そこで手に入れたコード・オルガンと兄の家のガレージが、彼の音楽キャリアをさらに広げることになる。その後、無一文でテキサス州オースティンへ流れ着いたダニエル。1980年代はじめ、自家製のカセットテープに様々なフォーク・ソングを録音した彼は、ファン、友人やジャーナリストたちに無料でテープを配り始めた。ちょうどその頃、オースティンの音楽シーンの活況にマスコミが注目しはじめており、意図せずその流れに乗ってしまったダニエルは、MTVでセレブとしてスポットライトを浴びる。だが、まさにその時、彼の内に潜んでいた悪魔が浮上。以後、持続的に躁うつ病に苦しむようになる。そしてその病の兆候は、彼が紡ぎだす歌や絵にますます顕著に現れていくのだった。今や40代半ばとなったダニエルは、入退院を繰り返しながらも多作なヴィジュアル・アーティストに成長。彼の鮮明で奥深い表現は、批評家からも賞讃され世界的に注目を浴びるようになる。ダニエルの過去~現在の貴重な映像、演奏シーン、自身によるホーム・ムーヴィーやオーディオ・テープに録音された音声などを挟み、友人や献身的な家族の証言も加え、彼のパーソナルな歴史を追っていく。