日本人女性・由美(坂上香織)は夫と愛を育んだ思い出の地・香港を訪れ、偶然出会った中国人カメラマンのケニー(トニー・ホー)と関係を結ぶ。ケニーにとってそれは一夜の情事だったが、由美には宿命の出会いだった。恋人ニキとケニーが一緒にいるところを由美は物陰から見つめ、棄てられるという恐怖心と愛の独占欲が心を覆い尽くす。由美はニキになりすまし、ケニーを高台の邸宅へ誘い出す。そしてケニーを縛り上げ、肉体関係を強要する。その反面、優しい妻を装い、かいがいしくケニーの世話をするのだった。由美が正常な精神状態ではないことを確信したケニーは、脱出を試みるが失敗に終わってしまう。ケニーの行動に逆上した由美は、彼の足の親指を切断する。個展が開催されているのに突然失踪してしまったケニーを心配するニキは、高級住宅地52番地というキーワードを探し当てる。その番地こそ、ケニーが由美に捕らわれている住所だった。邸宅を訪れたニキを、由美は刃物で歓迎する。血塗れとなり息絶えたニキの脇のテレビでは、愛人をつくった夫を惨殺した由美が香港へ潜伏しているというニュースが流れていた…。来る日も来る日も由美の要求で肉体を重ね合わせるケニーは、次第に由美の心が寂しさという闇に支配されているのではと思うようになる。由美にとってケニーは今では完全に『夫』であり、ケニーもまた由美の空虚な心を憐れむと同時に、表現しがたい愛情を覚えるようになる。2人は救済と破滅に向かい、今まで以上にお互いの肉体をむさぼり合うのだった。