ロンドン郊外の小さな町。中年の主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)は、難病と闘う孫オリーの治療費をまかなうために、住み慣れた家を手放し質素な生活を送っていた。ある日、マギーと息子夫婦のトム(ケヴィン・ビショップ)とサラ(シボーン・ヒューレット)は、医者から「6週間以内にオーストラリアで特別な手術を受けなければ、オリーの命が危ない」と宣告を受ける。息子夫婦には費用を工面する余力はなく、マギーがなんとかしようと必死になる。切羽詰まった彼女は、ロンドンの歓楽街ソーホーで見つけた「接客係募集」のはり紙を頼りに、セックスショップ「セクシー・ワールド」に足を踏み入れる。オーナーのミキ(ミキ・マノイロヴィッチ)は、ウェイトレスの職を想像している世間知らずのマギーに呆れながらも、そのなめらかな手に素質を感じ雇うことにする。その店の「接客」とは、女性の手で壁の向こうに立つ男たちを絶頂に導く仕事だった。マギーはそれを知り驚くが、愛する孫のために覚悟を決める。ミキの予感は的中し、マギーの小部屋の前には長蛇の列ができるようになった。ゴッド・ハンドを持つマギーは、「イリーナ・パーム(手のひらイリーナ)」という源氏名をもらい、小部屋を居心地のいい空間に変えて精力的に働いた。一刻も早く手術費用を工面したいマギーは、ミキから6000ポンドを前借りしトムに手渡す。大金に驚くトムだったが、マギーは仕事のことを一切彼には話さずにいた。借金を返すべく仕事に励むマギーは、ミキの信頼も得ることができ、自信に輝いていた。オリーがオーストラリアに立つ日も決まり、すべてがうまくいくかのように見えたその時、トムがマギーの仕事について知ってしまうのだった。