レバノンの首都ベイルート。街角で小さなエステサロンを経営するラヤール(ナディーン・ラバキー)は既婚の恋人を持つ30歳の独身女性。サロンで働くスタッフは、28歳で恋人との結婚を控えたニスリン(ヤスミーン・アル=マスリー)と、長い黒髪の女性を気に留める24歳のリマ(ジョアンナ・ムカルゼル)の2人。常連客のジャマル(ジゼル・アウワード)は女優志望の主婦だが、オーディションには落ち続けで、ニスリンに八つ当たりしている。ある日、ラヤールは恋人の誕生日を2人で過ごすために、ホテルに予約を入れようとする。だが、レバノンでは未婚の女性がホテルに泊まることが認められていないため、ことごとく断られてしまう。ようやく押さえることができたのは、場末の安ホテル。それでも、薄汚れた部屋を隅々まで掃除し、飾りつけ、手作りのケーキを並べ、恋人を待つ。だが、結局きたのは“妻と別れられない”と告げる一通のメールだけだった。ほどなくして、失意に沈むラヤールのもとにニスリン、リマ、ジャマルがやってくる。彼女たちと会ったラヤールは涙を流す。信心深いふりをしながら不倫の関係を続け、家族にウソをついている自分を恥じたのだった。そして、その姿を見たニスリンも突然泣き出す。厳格なイスラム教徒の家庭で育った彼女は、婚約者に真実を告げることができず、自分が処女であるとウソをついていたことで悩んでいたのだった。やがて、彼女たちはそれぞれに人生を進んでいく。恋人への未練を断ち切るかのように彼の妻と接触するラヤール。ニスリンは結婚のために一大決心をする。同性でありながら、度々訪れる長い黒髪の女性に魅かれていくリマ。若い女性との浮気を続ける夫と思春期の子供たちに苛立ちながら、ジャマルは年齢とともに訪れる衰えに怯える。様々な思いを胸に、女性たちが待ちに待ったニスリンの結婚式が明日に迫る…。