沖縄・世嘉冨島。森の奥にある大木の上で、島を祝福する守り神である精霊・キジムンたちが、三線を弾きながら物語歌を歌っている。キジムンのマジルー(蔵下穂波)はキジムンの王タンメー(平良とみ)に、なぜ人はなんでも忘れてしまうのかと尋ねる。キジムンは、人間に忘れられたら生きていけない定めだった。東京で暮らしていたゆり子(柴本幸)は不倫の恋に疲れて、故郷である世嘉冨島に帰ってくる。さんかく山がそびえ、緑豊かなこの島は、幼いころ、カマドおばあと暮らした場所だった。最近は島を出る家が多く、キジムンたちはさびしがっていた。島では、村長の息子の結婚式を控えていた。しかしこの結婚は、島のリゾート開発で大儲けしようと企む村長が考えた政略結婚だった。島の青年会の男たちは、結婚式で披露する芝居『大琉球王国由来記』の稽古をしていた。男ばかりで稽古に身が入らなかった演出の昭彦は、ゆり子を芝居のヒロインにしてしまう。しかし、ゆり子の不倫相手・敦や、その妻・梨花がゆり子を追ってきて、小さな島は大騒ぎになる。そんななか、ゆり子はマジルーと再会する。キジムンは誰にでも見えるものではなかったが、幼いころのゆり子はマジルーの姿を見ることができ、2人は永遠の友情を誓ったのだ。マジルーはゆり子を恋の苦しみから救うために、目を覚まして最初に見たものに恋してしまう秘薬を使う。ところが、村長の息子が結婚相手に逃げられ、ゆり子は身代わりの花嫁にされてしまう。一方、琉球王朝の末裔が住むこの島を祝福するという使命を持ったマジルーは、島民全員が集まる結婚式で彼らを祝福しなければならなかった。島の人々の心を取り戻すために、ゆり子とマジルーは協力する。