住宅ローン延滞のために自宅を差し押さえられ、立ち退きを迫られている家族がアメリカ各地で続出している。マイケル・ムーア監督は、ギブ・アンド・テークのテークする(奪う)方がほとんどである現状こそ、キャピタリズム(資本主義)であると告げる。実際に、コンド・バルチャーズ(マンションのハゲタカ)を経営するフロリダの不動産会社は、差し押さえた住宅の転売で儲けている。1989年、ムーアは故郷でありGM(ゼネラル・モーターズ)創業の街・フリントを舞台に「ロジャー&ミー」を初監督した。GMは当時40億ドルの収益があったが、数万人のリストラを断行した。その20年後、GMは倒産した。ムーアは本社を訪ね、会長との面会を求めるが断られる。そこで、GMで33年働いた父と工場の跡地に赴く。アメリカの体制は民主主義ではなく、1%の富裕層が底辺の95%より多い富を持ち独占的に利益を得る社会という意味の“プルトノミー”だという説がある。今の若手科学者は学生ローンの返済のため、ウォール街に職を求める。そして、ハーヴァード大学経済学部の教授さえ説明できないほど複雑な金融商品を開発した。ムーアはその内容が分からず、元リーマン・ブラザーズの社員に尋ねるが、理解できない。住宅を担保に融資し、さらに再融資して利殖できるようにし、返済できなければ家を差し押さえるというサブプライムローンを、住宅ローン最大手のカントリーワイドは一般庶民に売りまくった。その結果、住宅ローンは焦げ付き、2008年9月15日、リーマン・ブラザーズが破綻する。株価は大暴落し、税金7千億ドルを不良債権の買い取りのために投入する救済法案が可決される。ムーアは議会監視員会の会長に7千億ドルの行方を聞くが、会長は分からないと答える。また、元ゴールドマン・サックス会長のポールソン財務長官に電話をすると、名乗った途端に切られてしまう。そこでムーアは大型トラックに乗り、金を返してくれとウォール街に突入する。