1975年のソウル。9歳のジニ(キム・セロン)は、新調してもらったよそ行きの洋服を着て、大好きな父(ソル・ギョング)とともに郊外を訪れる。そこは、高い鉄格子に囲まれた庭の中で、幼い子供たちが遊ぶ場所だった。父親と別れたジニは、子供たちのいる部屋に通される。その状況が理解できずに外へ飛び出すジニ。だが、目に飛び込んできたのは、門の向こうに去ってゆく父の後ろ姿。彼女が連れてこられたのは、孤児が集まるカトリックの児童養護施設だった。父に捨てられたという現実を受け入れられないジニは、自分は孤児ではないと主張し、父に連絡を取るよう院長に頼み込む。そして、出された食事にも手をつけず、反発を繰り返す始末。やがて脱走を試みるものの、門の外に出ても途方に暮れるだけだった。翌日、教会へ行くために子供たちが着替える中、頑なに周囲に馴染もうとしない反抗的なジニ。そんな彼女を面倒に思いながらも、気にかけてくれる年上のスッキ(パク・ドヨン)は、何かと世話を焼いてくれるのだった。教会で、“父はなぜ私を見捨てられたのか”というイエスの言葉をぼんやりと聞くジニ。その視線の先にあるのは、ある信者の父娘の仲睦まじい姿。健康診断のために施設を訪れた医師(ムン・ソングン)に、なぜここに来たのかと質問され、ジニはぽつりぽつりと話し始める。父親と新しい母との間に生まれた赤ん坊の足に安全ピンが刺さり、それが自分の仕業と誤解されたから…。話すうちに、ジニの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちていく。それでも必ず迎えはくると信じるジニは、祈るように父を待ちつづけるのだった。