1950年、英国統治下の香港。イップ・マン(ドニー・イェン)は家族を連れて広東省から移住してくる。知り合いの好意で詠春拳の武館を開くと、若者ウォン(ホァン・シャオミン)や仲間たちが入門してきた。だが香港に存在する様々な門派の武館の元締め、洪拳の師範ホン(サモ・ハン・キンポー)がイップの前に立ち塞がる。中華料理店の不安定な円卓の上に立って、各門派の師範たちと戦うこと。それがホンがイップに課した武館開設の掟だった。ひとり、またひとりと相手を倒していくイップ。最後に彼の前に立ち塞がったのはホンだった。2人の死闘には最後まで勝負がつかず、ホンは金を納めることを条件に武館開設を認めるが、イップはそれを拒否。やがてホンの弟子たちとウォンたちが乱闘騒ぎを起こし、イップは武館閉鎖に追い込まれてしまう。自分を責めるウォンに“争わぬために闘う”という武術の心得を語るのだった。イップは、師範たちから集めた金を警察署長への賄賂に使っていたホンと再び相まみえることに。だが、挑みかかるホンのキックが、偶然彼の幼い息子に命中するかと思われたその瞬間。子供をさっと抱き上げたイップは言った。“勝負の決着より大切なものがあるのでは?”イップを認めたホンは、警察署長主催のボクシング大会に彼を招く。だがそのボクシング大会の会場で事件は起こった。試合後、イギリス人ボクサー、ツイスター(ダーレン・シャラヴィ)が中国武術を侮辱。リングに上がったホンが彼のパンチの前に壮絶な最期を遂げたのだ。人々の怒りは収まらず、警察署長はツイスターが中国武術家を倒す場面を公に見せつけて混乱を収めようと、新たに武術大会の開催を決める。イップ・マンは中国武術の誇りを守るため、人としての尊厳を守るため、静かに死闘のリングへと進み出る……。