今から5、60年前の物語である。平和なニウイングランドに住むガーリット・アミドンという若い船乗りは、ネティーという乙女と恋仲であった。然しガーリットの父とネティーの祖父のバージルとの仲違いの為に、2人の仲は許されなかった。ガーリットは胸の悩みを忘れんと中国へ航海に出発してしまった。彼は中国の女王を危難から救う為に彼女と結婚し、伴って故郷に帰って来た。ネティーは彼を忘れず喜び迎えたが、中国の女を妻としている彼を迎えた時は、乙女心のうら悲しく、涙の流れるのを止める事が出来なかった。ガーリットも彼女を予て愛していた事故、妻に対する義理と、心のうちに燃える愛の焔とに、交々悩まなければ成らなかった。知らぬ他国へ遥々来て、頼りに思う夫は他の女に想を寄せている事を知った時ガーリットの妻なるタウ・イエンは、自らの生命を絶って魂の安息を求める外に為す業を知らなかった。斯くしてやがてガーリットとネティーとが神に結ばれる日が来るであろう。