東京の閑静な住宅街に暮らす門田恵子(森田亜紀)は近頃、不安な日々を送っていた。その理由は、夫の吉明(相澤一成)を度々見舞う奇妙な発作だった。体を弓なりにしならせ、野獣のような咆哮をあげる夫の姿を見るたび、妻の恵子は例えようのない戦慄に襲われる。最新の催眠療法を試し、吉明の医大時代の後輩である坂下(信國輝彦)のカウンセリングを受けても、現代医学の力では“無数の蟲に意識を乗っ取られるような”吉明の病状は好転しない。そしてある晩、恐れていた事態がついに現実となる。吉明の身体が少しずつ“変化”し始めたのだ。肉体の変態に伴い、就寝中の吉明は人間離れした行動を取り、意味不明の言葉を叫ぶようになった。坂下の勧めで、恵子は夫を強制入院させるが、その頃から都内各地で謎の通り魔殺人が頻発するようになる。犠牲者はいずれも体を引き裂かれた無残な状態で発見されていた。やがて、吉明がふらりと自宅に戻ってくる。恵子は藁にもすがる思いで女性祈祷師を自宅に招くが、彼女はお祓いの最中に突然、吉明の態度に怯えて逃げ帰ってしまう。その理由を聞こうと祈祷師を追った吉明を探し、夜の町に出た恵子は、夫が通り魔事件の犯人だったことを知る。恵子の献身的な介護にも関わらず、吉明の奇病は加速度的に悪化。全身が人間とは思えない異様な姿に変わってしまう。吉明を屋敷に閉じ込めた恵子は、自らの肉体を使って夫の求める“餌”を運び込むが、その犯行はすぐに警察に知られ、刑事たちが訪ねて来る。窮地に陥った2人に残された道は、絶望的な逃避行のみ。だが、退路を断たれた吉明と恵子を待っていたのは、予想もできない衝撃的な“変化”だった……。