その夜、男はピストルを片手に1人、車を走らせていた。実家暮らし、親の車に女を乗せて、時々、女の家に転がり込む……。何不自由なく一生を平凡な教職員で終えるはずだった鵜川(三浦誠己)は、それまで無縁だった世界にいた。何が彼をそこまで追い詰めたのか……。同僚の美千代(赤澤ムック)との結婚を漠然と考えていた鵜川の前に現れた1人の女、メイ(笹峯愛)。彼女は美千代の学生時代の後輩だったが、美千代は露骨に嫌悪感を見せる。メイの何が彼女にそこまで嫌悪感を抱かせるのか?鵜川は興味本位から、美千代とは正反対のメイに惹かれ始める。手のひらに運命線がなく、暗い影の付きまとう女メイ。訳有りとは知らずに愛したその日から、何かが狂い始める……。ある日、鵜川の前に一人の男が現れた。メイの恋人だと名乗ったその男は、口では決して相容れぬ、残酷な人間だった。彼の出現を機に、2人の世界は一変する。刑務所から出所したばかりの昔の男に束縛されるメイと、その男に恐喝され、友人を裏切ることになる鵜川。愛し合うメイと鵜川は、疼く身体を重ねる度に、身も心も破滅に追いやられてゆく。そしてメイの手のひらに、あるはずのない運命線が静かに現れた時、2人の未来に惨たらしい殺人計画が浮かび上がってくる。メイの選んだ衝撃の決断とは。絶望の果てに見出すのは、愛か死か……。