住んでいる家、食べ物、排気ガス、殺虫剤、煙草の煙、農薬など、知らず知らず吸収している化学物質を身体の中に溜め込み、その蓄積が突然限界に達したときに発症するのが化学物質過敏症である。発症すると、合成洗剤、消臭スプレー、芳香剤、柔軟剤など日頃使っている生活必需品に含まれる化学物質のわずかな臭いも耐えられなくなり、頭痛や吐き気、呼吸困難などを引き起こす。早苗さんは自宅の新築でシックハウスになったあと、近所のゴルフ場の農薬散布で化学物質過敏症を発症し、息ができなくなった。母・道子さんと2人で、呼吸できる場所を探して車で旅に出るが、農薬や排気ガスで発作を起こし、困難を極めた旅の末、2人は標高1000メートル地点でのテント生活に行きつく。しかし、そこも安全ではなかった……。大阪の入江さん一家は、自宅の新築でシックハウス症候群になり、瞬く間に家族全員が化学物質過敏症になった。長男・絋司さんと二男・茂弘さんはそれぞれ、中学校と小学校の教師から整髪料や理科室の薬品を嗅がされたりして、重症の道のりをたどることになった。