北部シャムのラオ種族の1人にクルーという男がある。彼にはチャンチュイという妻があり、ナーという息子があり、そして女児と乳児とがあった。彼ら家族は遠く集落から離れた森の中に住んでいたが、ある時豹が自分の家畜を奪ったので檻を罠にして豹を捕らえ之を銃殺した。ところが又してもその後間もなくクルーの飼っている牛が虎のために殺されたのでクルーは到頭集落の民の声援を得て虎狩りを開始し虎や豹や大蛇等を数多退治したのである。やがて秋が近づいて来た。そしてとうとう米の収穫期に入ろうとする頃、クルーが大事にしていた稲が一夜にして何物にか荒らされてしまった。足跡の依って判断すれば正しく象の仕業と思われた。依って又しても罠を設け小象を生け捕りにして帰った所、後から親象が現れ怒ってクルーの家を打ち壊してしまった。之がためクルーの家族は命からがら集落へと非難したが、今度は象の大群が人間への復讐のため大挙して村へ押しかけ、見る間に一集落をめちゃめちゃにこわしてしまった。ここに於いて村民一同は象狩りを思い立ち、大掛かりで巨大な棚の囲いを設け、連日連夜象の大群をその方へ追い入れて遂に象群の頭目と思しき者数頭を生け捕りにした。欺してクルーはその生け捕りにした巨象を馴馳して又森へと帰り、新たに開拓の斧を揮うことになったのである。