1991年。ビルマ人青年チョウチョウソー(通称:チョウ)は、祖国ビルマ(現:ミャンマー)の軍事政権からの弾圧を逃れ、家族を残したまま政治難民として日本に渡ってきた。生活のためにレストランで働きながら、祖国で封じられた民主化運動を続ける日々。数年後、祖国に残してきた妻ヌエヌエチョウとの再会が何とか叶うと、日本でビルマ料理店をオープン。2人での亡命生活が始まる。第三国タイでようやく実現した14年ぶりの老父との再会。しかしその後、父の死の報せにも、帰国は実現しなかった。日本滞在はすでに22年だが、彼の前には日本の難民政策の壁も立ちはだかる。生活にも慣れ、暮らしも安定してきたが、そこはチョウにとって将来の保障もなく、祖国に貢献する役割も担えない“異国”であり、自分の居場所ではない。“家族に会いたい”、“祖国で暮らしたい”と願う反面、“祖国の民主化運動”のために望郷の想いを捨てなければならないというジレンマ。その狭間で揺れ、迷ってきたチョウは、今の祖国の民主化をどう捉え、その中でどう生きようとしているのか……。