3年前に父を亡くして以来パチンコ店で働く兄・憲男(松田龍平)と二人暮らしの小岩麦子(堀北真希)のところに、突如、母の彩子(余貴美子)が戻ってきた。麦子がまだ幼い頃に彩子は家を出て行ったため母の記憶が全然ないため、麦子はこの突然の母の出現に戸惑っていた。少し疲れた様子の母に言われるまま一緒に暮らし始めた矢先に憲男が出ていき、二人きりになる。朝に壊れた目覚まし時計が鳴りっぱなしだったり、鼻歌で『赤いスイートピー』で歌ったりと、彼女のやることなすことが気に障っていたが、次第に母という存在を意識するようになる。そんな中、声優を目指す麦子が密かに入学を考えている声優学校の案内書を彩子が勝手に見てしまい、麦子は彩子に母親と思ってないと怒りをぶつけてしまう。その数日後、彩子は他界。彩子は末期のすい臓ガンであることを誰にも告げていなかった。母親が死んだことをうまく咀嚼できないまま迎えた四十九日の日、憲男に言われ納骨のために母の故郷へ向かう。その地に着き、行く先々で若い頃の彩子と重ねられる麦子。故郷では彩子はアイドル的存在で、麦子を乗せたタクシー運転手の井本(温水洋一)や旅館を営む春男(ガダルカナル・タカ)など、母のファンや母のストーカー、そして母の親友らが青春時代を掘り起こすかのように騒ぎを起こす。彩子の友人だった霊園に勤めるミチル(麻生祐未)から、彩子はアイドル歌手を目指していたことを聞く麦子。町の人たちと母の青春の続きに付き合っていくうちに、麦子は母がたどった人生を少しずつ知っていく……。