福島第一原発から70km離れた福島県天栄村。里山に囲まれた人口6000人ほどの小さなこの村の人たちは、恵まれた自然環境を大切にしながら、農業を営んできた。日本一おいしい米づくりを目指す農家のグループ“天栄米栽培研究会”は、米のおいしさを競うコンクールで4年連続金賞を受賞している。しかし、2011年3月11日の原発事故で放出された放射性物質はこの村にも降り注ぎ、田畑は汚染されてしまった。この土地で生き、田畑を未来へ引き継ぐために、震災と放射能汚染による二重の苦難を背負いながらも天栄村の農家は諦めなかった。科学的な調査をもとに、国や県に頼らず、自分たちの手でできることは何でもやろうと立ち上がったのだ。未曾有の環境破壊を乗り越えようとする、農家の人々の苦闘をカメラに収めた。