ロンドン郊外の安アパートに住む請負労働者トムと小学校教師アナの夫妻。シカゴから再起を誓い移住して来たふたりは祖母から相続した屋敷を改築し子供を持ち幸せに暮らすという夢を抱いていた。ある日、トムの元にひとつの通知が届く。“退去勧告”。政府による金融引き締め政策と外国人労働者への取り締まり強化により、ふたりは経済的に追い込まれていた。途方に暮れる中、思わぬ事態が訪れる。階下の住人が3500万円の大金を残して突然死したのを発見したのだ。持ち主不在の3500万円。近づく、退去期限。そして、ふたりは遂に金に手を出してしまう。慎ましやかな夢を叶えるために。しかし、それは絶対に手を出してはいけない金=だった。金を巡りマフィア、麻薬密売組織、そしてある事件の復讐を誓う刑事がふたりに迫る。つかの間の“安心”を手に入れたふたりが掴んだのは、恐ろしい陰謀が蠢く闇世界への切符だった……。