北アルプスの山裾にある長野県北安曇郡小谷村真木。真木共働学舎は、車の通らない山道を1時間半歩いたところにある。共働学舎とは、高度経済成長の終焉を迎えたといわれる1974年、自由学園の教師だった宮嶋眞一郎により創設され、農業、酪農、工芸などを生活の基礎とした共同体で、いまも各地に根をおろしている。真木共働学舎は、1978年、集落全体の高齢化などによって廃村となった後の集落で、宮嶋眞一郎と数人の同士が生活を始めスタートした。現在は、ひときわ立派な茅葺きの家『アラヤシキ(新屋敷)』に、20代~60代の男女十数人が生活している。彼らは犬や猫、ヤギ、鶏などの動物たちと暮らしながら、村の先人達が代々使ってきた田畑、数軒の古民家をそのまま受け継ぎ、農業中心の生活を続けてきた。今の社会に肉体的・精神的な生きづらさを抱える人も、そうでない人も、それぞれ固有に持つ能力を尊重し合いながら暮らしている。冬は根雪が2mを超えることもある豪雪地帯で40年間繰り返されてきた営みを、四季を通して追いかける。