東京都内の人気美容室でカリスマ美容師として働く井上遼(白石隼也)は、数々のコンクールで輝かしい賞を受賞、自分の技術を高めることだけに日々邁進していた。職場の同僚たちにとってそんな彼はとっつきにくく妬ましい存在だったが、遼は順風満帆の毎日を送っていると思っていた。ある日、担当する人気モデルからの交際の申し込みを冷たくあしらってしまったことが原因で遼は店を解雇され、さらに不運なことに自宅のアパートまで火事に見舞われてしまう。路頭に迷った遼は、疎遠になっていた故郷・札幌へと向かう……。地元でカフェを営んでいる先輩・倉橋和也(中尾明慶)を訪ねた遼は、和也の紹介で1週間だけ地元の美容室で働くことになった。相変わらず店の中で孤立し淡々と日々を過ごす遼を見て、店長は、同僚の高橋まり(夏菜)と一緒に訪問美容の講習を受けるよう提案する。店長の話に不満を抱きおざなりに対応しようとする遼を強引に病院の一室へ案内すると、そこには髪を切りに来てくれたことを喜ぶ一人の女の子が待っていた。店長は、病気のため一時的に髪を失ってしまった少女のウィッグをセットするよう指示。淡々と髪をセットし終えた遼は、鏡の中で微笑み嬉しさのあまり涙ぐむ女の子に戸惑いを感じながらも、不思議な気持ちが湧き上がってくることに気付くのだった。その日を機に、遼の心に小さな変化が訪れ、不器用だが心優しいまりとともに積極的に訪問美容に参加し始める……。