日本にオイルショックによる閉塞感が漂い欧米に倣おうとする欧米コンプレックスに陥っていた1970年代初頭、黒髪に切れ長の目という日本人らしさをたたえた山口小夜子がアジア系初のモデルとして世界の大舞台に躍り出た。山本寛斎や高田賢三、イブ・サンローランら名だたるファッション・デザイナーのミューズとなり、セルジュ・ルタンスや横須賀功光らトップクリエイターにインスピレーションを与え、東洋の神秘と謳われるまでに。やがて演劇やコンテンポラリーダンス、映画にも進出し美意識を追究していくも、2007年に急逝した彼女の実像は謎に包まれたままであった。彼女の関係者たちの証言や彼女が長年専属モデルを務めた資生堂のCM制作秘話、貴重な映像などから、ミステリアスなその姿に迫っていく。